ゲンさんとVTR・前編
ノボル君がビデオを持って撮影にやってきた。
何でも映画監督を目指しているとか言う話で、
前からちょくちょく撮らせてくれと言っては
ビデオ片手に公園に訪れる。
最初は皆も警戒し、適当にあしらっていたが
生来のひょうきん者であるゲンさんだけは、
ビデオを向けられるのがよほど嬉しいのか、
ひょうきんなポーズや、得意のダジャレを
積極的に披露していた。
そのうちゲンさん目当てに自然と皆が集まるようになり、
ノボル君も徐々に皆に受け入れられていった。
今回持ってきたビデオカメラはリース?とやらでどこかから
借りているものらしく、返却期限が明日だという。
「今、バイトをしてお金を貯めてるんで、
すぐに新しいカメラを持ってまた撮影に来ますよ。
一応、今日で撮影をいったん中断してしまうことになりますが、
ゲンさん、いつもの、またよろしくお願いしますね!」
とノボル君。ゲンさんも
「おう!そのカメラ、明日返しちゃったらダメら」
などとダジャレをさっそく飛ばしはじめた。
しかし、今日は少しだけいつもと違っていた。
何でも映画監督を目指しているとか言う話で、
前からちょくちょく撮らせてくれと言っては
ビデオ片手に公園に訪れる。
最初は皆も警戒し、適当にあしらっていたが
生来のひょうきん者であるゲンさんだけは、
ビデオを向けられるのがよほど嬉しいのか、
ひょうきんなポーズや、得意のダジャレを
積極的に披露していた。
そのうちゲンさん目当てに自然と皆が集まるようになり、
ノボル君も徐々に皆に受け入れられていった。
今回持ってきたビデオカメラはリース?とやらでどこかから
借りているものらしく、返却期限が明日だという。
「今、バイトをしてお金を貯めてるんで、
すぐに新しいカメラを持ってまた撮影に来ますよ。
一応、今日で撮影をいったん中断してしまうことになりますが、
ゲンさん、いつもの、またよろしくお願いしますね!」
とノボル君。ゲンさんも
「おう!そのカメラ、明日返しちゃったらダメら」
などとダジャレをさっそく飛ばしはじめた。
しかし、今日は少しだけいつもと違っていた。
Radio2
「カズエの機嫌がわるくってよぉ。
あのババアがヨー!ふだけんなっての!」
朝から泥酔したキンさんが、
こんな愚痴を言いながらテントにやってきた。
理由はわかってる。
以前からカズ姉はヨッさんのラジオをうらやましがっており、
同居するキンさんに「買って欲しい」とねだっているのだ。
キンさんにラジオを買う余裕はないって分かっているはずなのに。
カズ姉も甘えてみたいのだろう。
「バッカヤロウ。いらねぇもんはいらねぇって言ってるのがあいつにはわからねえ!」
と言いながらテントから出ていったキンさん。
そのままその晩は帰ってこなかった。
2日後、どこかの会社名が印刷されたAMラジオを持って
キンさんが帰ってきた。
聞くと、埼玉の方にある産業廃棄物ゴミ処理場まで歩いていき、
ラジオを見つけて持って帰ってきたのだという。
「うちのヤツもバカだからさぁ。
電池をちっちゃいの買ってきちゃってんのさあ。
うちのヤツもバカだからさぁ。
あたしさぁ、今日、誕生日だったのさぁ。
なーんもいらないって言ってたんだけどさぁ。あのバカがさぁ」
そのラジオを持って、
嬉しそうにテントを回るカズ姉の笑顔を
一生、忘れることはないだろう。
あのババアがヨー!ふだけんなっての!」
朝から泥酔したキンさんが、
こんな愚痴を言いながらテントにやってきた。
理由はわかってる。
以前からカズ姉はヨッさんのラジオをうらやましがっており、
同居するキンさんに「買って欲しい」とねだっているのだ。
キンさんにラジオを買う余裕はないって分かっているはずなのに。
カズ姉も甘えてみたいのだろう。
「バッカヤロウ。いらねぇもんはいらねぇって言ってるのがあいつにはわからねえ!」
と言いながらテントから出ていったキンさん。
そのままその晩は帰ってこなかった。
2日後、どこかの会社名が印刷されたAMラジオを持って
キンさんが帰ってきた。
聞くと、埼玉の方にある産業廃棄物ゴミ処理場まで歩いていき、
ラジオを見つけて持って帰ってきたのだという。
「うちのヤツもバカだからさぁ。
電池をちっちゃいの買ってきちゃってんのさあ。
うちのヤツもバカだからさぁ。
あたしさぁ、今日、誕生日だったのさぁ。
なーんもいらないって言ってたんだけどさぁ。あのバカがさぁ」
そのラジオを持って、
嬉しそうにテントを回るカズ姉の笑顔を
一生、忘れることはないだろう。