女性 | 乞食blog

女性

生活が生々しくつまったゴミを漁られたら、
気分が悪いだろう、という気遣いから
家庭ゴミの集積所は あまり漁らないようにしている。
単に実入りが少ない、という事もあるが。

しかし今朝、アクマが来る前に早起きをして
散歩をしていると、一般のゴミ集積場付近で
衣服のつまったゴミ袋を発見、
思わず失礼して確認させてもらう。

すこし流行に遅れているのだろうと思われる、
女性用の冬服が入っていた。
ゴミ袋の中だというのに、軽くたたんであって
元の持ち主の几帳面な性格がうかがえる。
週末にタンスの整理でもしたのだろうか。

カズ姉によさそうなものがあるかも、
いくつか広げてみるが、
すぐにカズ姉がもういない事を思い出し少し落ち込んだ。。
ふと広げてみたカーデガンを見ると、
ボタンが全てなくなっている。

私の母親も、着なくなった洋服のボタンを外し、
フイルムケースにためこんでいた。

「服はいたんでるけど、ボタンはまだ使えるからねぇ」

母の言葉を思い出して、胸がつまった。
今時分、そういう感覚をもった女性がいるのだなあ、
と思いながら、広げた服を同じように畳み、
全て元の袋に戻してから立ち去る。

母、妻、娘、いなくなったカズ姉、
そしてこの服の持ち主。
女性の事を考えると、なぜか涙が出そうになる。