アクマの折鶴 | 乞食blog

アクマの折鶴

「鶴を折って下さ~い」
アクマと二人でブラブラしていると、
こんな声が聞こえた。
駅前でボランティアかなにかだろうか。

前にも見かけた事があるし、
別に珍しい事でもないので
そのまま通り過ぎようとしたら、
アクマがニヤリとわらってズンズンと
そちらへ近づいていくではないか。

内心おいおい、止めてくれよ…と思ったが、
声をかける間もなく、小さな折り紙を受け取って
鶴の折り方を教わっていた。
折り紙を渡した女性の顔は明らかに引きつっている。
我々が乞食だと気付いているのだ。

そんな事はお構いなしに半笑いで鶴を折るアクマ。
鶴を完成させ、腹の部分に息をプっと吹き込む。
さらに引きつる女性。

早く終わらせたいのか
「ありがとうございました」と早々に礼を言って
帰らせようとするのだが、鶴を折り終わった後も
ニヤニヤしてなかなかその場を離れようとしないアクマ。

だんだんと通行人や他のボランティアの連中の目が
自分にも向いてきたので、小声で「じゃ後で」とつぶやき
アクマを置いたまま逃げるように公園に戻る。
なんなんだあいつは。

明日の朝も来るのかなぁ、と思ったら
少し気が重くなった。付き合いにくい男だ。