カズ姉が | 乞食blog

カズ姉が

山ちゃんからひどい疑いをかけられている。
女のケースワーカーとグルになって、
カズ姉の施設入りを推進しているというのだ。

今朝、昨日の態度を注意してやろうと、話し掛けたら
ふたりの問題は、ふたりの問題だからほっておけばいいのに、
やたら首を突っ込むのは、ふたりの仲を嫉妬しているからだろう。
みっとないから、足をひっぱるようなマネするのヤメロ!
など…けっこうきつい調子でいわれた。

それは誤解だ。
確かにカズ姉に「どう思うか?」と聞かれたので
「そんなことをわざわざ人に聞くということは、
気持ちがゆらいでいるんじゃないの?」と軽口を叩いただけだ。

カズ姉は、その先に続く
「最初の気持ちがたぶん本当の気持ちなんだから、
それを大切にしたほうがいいよ。
後になってから出てくる気持ちって、
だいたい本心をカモフラージュのためにムリしてる考えのことが多いよ」
という本題を吹っ飛ばしてしまったのか。

それを丁寧に山ちゃんに弁明すると、
山ちゃんはもっと怒ってしまった。
「だから、それがあのケースワーカーの女と同じいいぐさなんだよ!
おめえにも同じこと言われたからって!
なんでおまえは、あんな女とグルになってんの?」

…偶然だ。

すっかり最初の気持ちというものにさかのぼってしまったカズ姉は、
「もともとわたしは、こういう男についていくのは
ムリだろうと思ったんだよねえ」
といって、施設行きの検討を始めているらしい。

今日は見学だけ、と出て行ったが、
もしかするとそのままもうここには戻ってこないかもしれない。

キンさんが、荷物が何も残ってないんだよう…
とがっくりしているという。
まさか…絶句すると、山ちゃんがやりきれないようにいった。

「なんで女って、こういうヘんな理屈にコロッと
自分の気持ちをはめこむんだろうな。
そんな最初の気持ちより、長くふたりでやってきたことが、
ふたりにとって大事に決まっているのによ。
ちょっとうまくいかないと、
うまくいかない理由を人の言ったせりふから、
自分の都合のいいようにあてはめるんだ」

最近うまくいっていなかったのか。
自分は、キンさんとカズ姉がずっと一緒に
いられるように思っていただけだったのに。

このところ記憶がとぎれるので、
自分でもわからないうちにあれこれ余計なことをしゃべったり、
しでかしているのかもとも思い怖くなる。